BASTARD!!
〜虚ろなる神々の器〜

BASTARD!!〜虚ろなる神々の器〜
GAME小説
2000/09/18up

 

Confusion Battle

 


 「よっしゃ、いっちょうあがりぃ!」

豪快に必殺技、増長天金剛撃を決めたコざる【ヴァイ】は得意気に鼻の下をかき、キメポーズをきめた。

 「オレ様の指示なしに勝手な技使うんぢゃねーーー!」

Σガコンッ!

デカイ音をたててオレ様は拳のグーでコざるの頭を殴りつけた。

 「っがーーーーーー! あにすんだ、テメエ!!」

殴られた頭を抱えながらコざるがキーキーわめきちらすが無視。
コざるの言うことなんざ、いちいち構っちゃいられねーぜ。
処女のお願いなら聞いてやらねーこともねーがな。

時にここはゲーム中【第3章】。
あのネイとかいうイイ女がいる森の中をオレ達はさ迷い歩いていた。

ついでだ。パーティメンバーも紹介してやるぜ。
さっきからキーキーうるせえコざるは【ヴァイ・ステラベ】。
黒い長髪のすかした野郎【ヨシュア・ベラヒア】。
こっちは黒髪に黒い肌の【ヨルグ・フィシス】。
んで白髪の【シェン・カー】。
そしてオレ様は超絶美形、最強無敵の【ダーク・シュナイダー】様だ!
オレ様だけを覚えておけ!!

チャラリラリ〜♪

ちっ。またあの戦闘合図の効果音がなりやがった!!

この世界じゃアイテムショップというものが存在しねえ。
限られたアイテムとコンディションで効率よく戦闘をこなすのがこの世界で生きる為の常套手段だ。
そしてそれを指示するのがオレ様よ。
超絶美形様は頭脳も明晰だぜ!
どーしようもねえザコどもをまとめあげなくちゃなんねーんだからな。

 「おいダーク・シュナイダー。戦うのか逃げるのか?」

くっく。
自分一人じゃ何も決められないザコどもがオレ様にお伺いをたててきたぜ。

オレ様の答えはトーゼンひとつだ。

 「皆殺しだ!!」

 

 

ACT.1  シェン・カー

 


Σガコンッ

敵の術にハマッた効果音がした。

ったく誰だ間抜けなコトするヤツわ!
メンバーの状態を確認すると、シェン・カーのヤツがチャームにかかってクラクラになってやがった。

 「おいおい・・」

だがオレ様はいちいち助けてやるなんてメンドーなことはしねえ。
自力で回復しやがれってんだ。

カチャカチャ

軽い金属音に目を向けると、ヤツは自分のターンが回ってきた時に装備を外し始めた。

オレ達がボーゼンとしていると武器・防具だけじゃねえ。
ヤツはその下に身につけていた服までも脱ぎ始めやがった!

 「ぎゃああああっ!!」

汚ねえ悲鳴を上げたのはシェンの兄貴であるジオンだった。

ただならぬ兄弟愛に結ばれているヤツは、弟の危機にオレ達よりもいち早く我に返ったらしい。

 「シェン!! 何をしてるんだッ。正気に戻らんか!!」

戦闘の陣形を無視してジオンのヤツはシェンに駆け寄った。
おいおい戦闘中だってーの。勝手に移動すんぢゃねえ。
つーか、だいたいテメーはストックメンバーだろーが!

 「早く服を着ろ! お前の裸を他のヤツに見せるわけにはいかん〜〜〜!」

て、冗談じゃねえ! 誰がヤローのストリップなんぞ見たいか!!

心の中で毒気づくオレ様とジオンの目があった。
何か嫌な予感がするぜ・・。

 「頼むダーク・シュナイダー! シェンに回復アイテムを使ってやってくれ!」

やっぱり!そうくると思ったぜ!

だが生憎オレ様は貴重なアイテムをヤローに使ってやるような神経はしてねーからな。
ちゃちい術にかかるほうが悪い。

 「頼むーーーーーッ!!」

やかましい。
ストリップでもヌードにでも勝手になりやがれってんだ。

 「見ず知らずの俺達兄弟を助けてくれたお前だ! もう一度弟を助けてやってくれ!!頼む!この通りだ〜〜〜〜〜!!」

情けないほど顔を崩して懇願するジオンの姿は見てて面白かったけどな。

 「もう手遅れみたいだぜ?」

オレ様が指先立てて後ろを指してやるとジオンの目が見開き、顔がみるみる真っ青に染まっていった。

ま、そりゃそうだろう。

シェン・カーのヤツがとうとう下を覆う最後の一枚に手をかけて取っちまったんだからな。

その後一人キレたジオンが敵を蹴散らしオレ達の戦闘は終了した。

そしてオレは水晶玉のヨーコさんに思いっきり怒られた。

ん?
なんで他のメンバーがシェン・カーを取り押さえなかったのかって?

ぎゃっははは!

シェン・カーの次の行動者はオレ様だったのだー!

 

 

ACT.2  ヨシュア・ベラヒア

 


Σガコンッ

敵の術にハマッた効果音がした。

ったく今度は誰だっていうんだ間抜けなコトするヤツわ!
メンバーの状態を確認すると、ヨシュアがチャームにかかってクラクラになってやがった。 

 「・・・・・」

相手が誰だろうとオレ様はヤロー相手にアイテムを使う気はねえ。
だがシェン・カーのように脱がれても困るな。
オレ様は少し悩んだ。

---------が。
やっぱり今度もオレ様は傍観者を決め込んだ。

ヤツのターンが回ってくる。

くっくっく。
オマエは何をしてくれる?
オレ様はワクワクしながらその瞬間を待った。

ジャキンッ

 「ん?」

こともあろうかヤツは自分のターンになった途端にオレ様に向けて刀を構えた。

 「・・・・・っ」

なにか言ってるようだがハッキリ聞こえねえ。

 「・・・くも・・・の」

オレ様はこの状況を少し甘く見ていたようだな。
ヨシュアの異様な殺気が伺えるものの、超絶美形尊大無比のオレ様にとっちゃ屁でもねえと少しばかり高をくくっていた。

 「・・貴っ様ぁ・・よくも懲りずにカイの天幕にぃ〜〜〜〜〜ッ」

くあッ!と目を見開いたかと思うとヨシュアのヤツはオレ様に向かって攻撃を仕掛けてきやがった。

普段の温厚なヤツの姿など微塵もなく、オレ様は迂闊にもその気迫に圧倒されていた。

 「いいぞやっちまえ、ヨシュア!」

うるせえ、コざる!!

・・・まあ、ヨシュアのいうことに心当たりがねえわけでもねえ。
だがそれはちょっと天幕の場所を勘違いしただけのことだ。

 「毎晩間違えてるしな、ダーク・シュナイダー」

何気ないヨルグの一言に水晶玉のヨーコさんが発光した。

うっ。怒ってる?!
ごっごめんなさいいいいーーーーーーっ。

Σはっ。違う!

オレ様は無意識に頭を抱えるようにしゃがみこんでしまった。
態勢を立て直しオレ様的にふんぞり返る。

据え膳食わねば男の恥じ!

 「オレ様に抱かれて嫌がる女が世界にいるわけがねえ!」

オレ様は咆哮した。

 「ふざけてんじゃねえ!」

しかしそれがさらにヤツらの怒気を強めることになろうとわ。
むむう。
オレ様としたことがしくじっちまったのか?!

コざるどもの反乱にあい、回復アイテムを抑制され、混乱と今までの欝憤が開放されて狂人のように怒り狂うヨシュアに至っては成す術がなかった。

そしてオレ様は退散せざるを得なかった。

 「ちくしょう!」

 

 

ACT.3  ヴァイ・ステラベ

 


Σガコンッ

敵の術にハマッた効果音がした。

ったくまたか!
次は一体誰なんだ間抜けなコトするヤツわ!
メンバーの状態を確認すると、ヴァイの野郎がチャームにかかってクラクラになってやがった。

コざるか!
他のヤローはもとより、コざるにくれてやるようなアイテムなどひとつもない!

オレ様はトーゼンの如く無視した。

ガサゴソ ガサゴソ

 「ん?」

しばらくして何か物をあさるような奇妙な物音が聞こえた。
オレ様は音のする方向に目を移した。

 「てめえナニしてやがる!!!!」

ヴァイのヤローはアイテムサックをあさってやがった。

しかもここぞとばかりにレア中のレアな回復アイテムばかりをあさってドンドン使っていきやがる!

 「コ〜〜ざ〜〜る〜〜〜〜〜ッ」

混乱という無意識の狭間にいる時でもいちいちオレ様のカンの触るコトをするたあ、いい根性だ!!

くっくっく。
オレ様は使う魔法を選択し、さらには攻撃目標をヴァイに向けた。

向けたはずだった。

 「っくぅ〜〜〜〜〜〜ッ?!」

当然というべきか。
どんなにあがいてもオレ様の攻撃目標は一応パーティメンバーであるコざるには向けることができなかった。

コレがゲーム操作という空間の中でなければオレ様は存分に超破壊的必殺魔法をコざるにかましてやるというのに!!

そうこうしている間にもヴァイのヤローは貴重なアイテムを惜しげもなく使いまくっていた。

オレ様は苦渋の選択を余儀なくされた。

 「っがーーーーーッ!! リセットじゃリセットーーーーー!!!」

カシャン

乾いた音とともに意識が遠のいていった。

そして目の前が真っ暗になる。

覚えてろよコざる!
いつか絶対にコロス!!

オレ様は新たにデータロードを始め、消えゆく現在のファイルの記憶の中で殺意を新たにするのだった。

 

2000/09/10(Sun)up

 

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